下を向かないように、上を向くと、空が私に目薬を指してきた。
だから、雨の日は、その雫で羽を編むことにしよう。
朝は、いつも通りの音楽と、通勤時間とともにプロペラに乗る。
大きな期待が風を切って、向こう見ずな上の空へと今日も飛行する。
永遠に続く時間を、今日を、僕は飛行する。
映った空の一面に広告が流れ、それらが、それぞれの思いの丈を語る。
あの時、空に頼んでみた、太陽のスクリーンは人々の日常を映す。そして僕の過去も軈て色彩になって、プロペラ機の窓を反射する。
夜になったら、太陽が落ちて、ゆっくりと倒れていく映写機は僕に微かに光を添える。
僕は街の灯りと、そしてただひとり。光をたよりに、そして星の光の中に紛れて。
夜の海は宇宙に溶ける。軈て僕も、大気圏を待つ。燃える星々を求めて。